村上龍著「13歳のハローワーク」には、残念ながら「(Web)マーケター」や「マーケティングリサーチャー」の章はないが、通読してみて「作家」と「ジャーナリスト」に関する記述がとても興味深かった。
 ジャーナリストの章で村上氏は、「日本のマスコミでは、たとえば新聞記者=ジャーナリストというふうにイメージしにくいのは、数年で担当部署が変わることが多いために、必ずしもその第一人者が取材の現場に立っているとはいえないからかもしれない。」と記述している。イラクでジャーナリスト人生を全うされた橋田信介氏の例を持ち出すまでもなく、今の日本でジャーナリストを極めるには、マスコミには所属せずフリーランス的にならざるを得ないのだろう。
 このフリーランスのジャーナリストのビジネスモデルは、自分の実績と経験に裏打ちされた「専門性」というフィルターを通して、数ある事実の中から価値あるものを抽出し文章やコメント・画像という成果物にしたものを、「マスコミの報道」というプラットフォームに購入してもらうというもの。成果物を自分のblogで配信してしまうとなかなかビジネスとして成り立ちにくくなる。また同じマスコミでも「報道」というプラットフォームではない場合には、村上氏のいう「最後の仕事」である「作家」のカテゴリーに分類されることになるのだろう。
 インターネットに代表されるITは、企業のマーケティング活動における情報収集活動や顧客接点管理をますます「自動化」へと導き、市場調査・広告・企業会計・Web構築サービスといった組織に属さなくても、市場を「取材」できる環境が整いつつある。クライアント企業のマーケティング活動というプラットフォームに購入価値を見出される、「(Web)マーケター」や「マーケティングリサーチャー」が極めるべき「専門性」とは?