「テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0」という本の日本での出版に尽力された織田さんが、日本に戻られている間、いくつもセミナー・講演をなさっていることもあり、マス広告の有効性に関するニュースやブログエントリーが昨日・今日と頻出している。

◆ITmedia News:“テレビCM崩壊”時代、ネット広告の役割とは
◆マス広告は全否定されるべきものなのか? マスをネットに置き換えるっていうような文脈自体がおかしいよ。: mediologic.com/weblog
◆SW's memo / 渡辺聡事務所: マス広告は全否定されるべきもの・・なはずが無いですよねという話とセミナー無事終了の話
◆masahikosatoh.weblog; ネットはテレビCMを殺すのか?ありえねーだろ。

 消費者を取り巻く情報環境が激変し、購入プロセスそのものの変化も顕在化してきている中、マス広告だけで十分フィットしなくなるケースが多くなってくるのは当然であり、ユーザーオリエンテッドなマーケティング活動をしているのならば、各メディアごとのクリエイティブ・表現のあり方やメディア配分、メディアミックスとかクロスメディアに真剣になるのは当然のことでしょう。タカヒロさん、SWさん、masahikosatohさんのご意見に共感するところです。

 私もメディア配分の最適化が求められる必然性については、何回かエントリーしてきました。

◆ISFI - 加藤智明: WEBマーケティング 2.0 へ
◆CGMを含めたクロスメディア戦略の最適化-つくねパパのblog
◆SNSはマスメディアか?にトラックバック-つくねパパのblog

 昨日・今日の一連のブログエントリーの中で、最も共感できた市場通信の波多野さんの言及を引用させていただきましょう。
◆【波多野ブログ】 メディア最適活用の時代へ/WEBマーケティング

(引用) 数字をアップさせるというミッションにおいては、マスメディアありきのマーケティングの実践は現実的ではなかった。何が何でもマスメディアの発想はマスメディアを売るミッションがあったからに他ならない。(中略)とは言え、それはマスメディアの崩壊という表現ではなく、幅広くなったON-LINEとOFF-LINEのメディアをもっと賢く使いなさいということを暗示している。まだまだマスメディアは有効なものであり、無くなりもしない。(中略)自社ではどうなのか。もう一度見直さないといけない。ネット広告が良いとなると、既に決まっている年間枠でネット広告を使い切るところも多い。もっときめ細かく効果測定をしてみよう。PPCであっても、サイトに到着し、最終的な売上げという実績数字に直結しているかどうか等。もう一度、自社のメディアをチェックしてみよう。(引用ここまで)
 リーチ指標で値づけされたマス広告は、メディアバイイングのためには都合のよい宣材であったに違いない。ただ、だからといって、個人視聴率データづくりや、広告の売上や利益への影響度把握を怠ってよいはずもなく、また、都合のよいデータにならないからといってそれらの測定のシステム化を怠ってはいけないはずだ。
 広告代理店のマーケティング担当は、広告メディア販売のマーケティング活動をしているわけではなく、クライアントのユーザーオリエンテッドマーケティング活動の支援サービスを売りにしてほしいわけで・・・。
 さすがにダイレクトマーケティングの領域でもない限り、リアルタイムの販売促進効果やROI向上効果を測定する仕組みを、外部が構築するのは難しいのはよく理解できる。
 ただ、クライアントは、今後、ROIの向上などをますます求めてくる時代だ。口コミ発生数を目的変数にするのも、効果測定の大きな一歩といえるのではないだろうか。
 そもそも効果測定ってできるの?必要なの?といったスタンスではなく、キメの細かい効果測定サービスこそが、マスを含めたメディアを売りやすくする宣材になるのだと感じる。